フィリピン人と携帯電話、終章。




Latip,Grandiへ。

2人が実家に帰ってから、二週間が過ぎました。たった二週間ですが、とても長い時間が経ったような気がします。結局、私は2人を雇ってあげることができませんでした。主な理由は、警察が怖いことと、すでにセピロクから4人の男の人達が働いていて、これ以上人を雇うのは経済的に難しいということです。2人は、別に私を攻めることもなく、おまけにRoti Canaiまで作ってくれて、最後の晩餐をしてくれました。そのとき撮った写真を今も、時々見ます。

11月は、静かに待ちます。2人がIDを取れるように祈りながら。

セピロクは、相変わらずです。Anisは、いつLatipがセピロクに帰ってくるのか聞いていました。Grandiの両親は、元気でしょうか? 私が会いに行っても怒ったりしないでしょうか。色んな想いが、心の中で混ざって、そして沈んで行ったり、泡になって蒸発していったりします。

また、いつか絶対に会えることを祈って。

2003 11 01 内田あゆほ



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