十二支の植物名

JR奥多摩駅。この古い木造の駅舎には、2回しか降り立ったことがないのですが、何故か何度も来ているような気になります。今年の秋に、大菩薩山に登りに行くために降り立ったときもそうで、駅舎の屋根の上は、きれいな青空が広がっていました。

この日は、朝始発を逃してしまったため目的のバスに乗れず、奥多摩駅で30分ほど待たなければいけませんでした。でも周りにはザックを背負った山行きの人が何人も見受けられ、自然とワクワクしてきます。私は駅の周りを歩きながら、ふと奥多摩山ニュースレターというものに目を留めました。

最近の奥多摩のニュース、紅葉の見所などが書いてあります。思わずゆっくりと目を通していくと、最後に‘動物の名前がつく植物名’という小コラムが書いてありました。

‘植物には、動物名が冠されたものが意外とあります。サルスベリ、ネズミモチ、ヘビイチゴ、ブタクサなど。(中略)実は、十二支の動物は全て植物名に使われています。あなたは何かわかりますか?’

なんと、ここでコラムは終わっており、答えは書いてないのです。私は少し考え、イヌエンジュを思いつきました。でも、牛は? トラは? ウサギ、龍、馬、羊、鶏、いのしし、、、。考えてもなかなか簡単には思いつきそうにありません。となると、よけい気になりだして、この質問に、大菩薩山行中はもちろん、その後も私は想いを馳せることになりました。

そして、調べてみました。ありました! 十二支の順番に従って、まずはねずみより。

ネズミモチ:モクセイ科の植物です。花はとてもライラックに似ています。実の形が小さく丸っこいことから、ネズミノフン、ネズミノコマクラとも呼ばれていて、ねずみと縁ぶかい植物です。

ウシハコベ:ナデシコ科の草。道端に良く生えています。七草に使われるハコベラと同じ仲間で、ちょっと大きいので、ウシとついています。

トラノオ:虎の尾、つまり尻尾のような形の花の植物は、よくトラノオと呼ばれています。伊吹山に咲くという、イブキトラノオがふわふわの尻尾のように見えます。

ウサギギク:高山に生える黄色のきれいな一輪菊です。

リュウノヒゲ:その名の通り、ひげのような細長い葉をたくさんつける観葉植物です。

ヘビイチゴ:ヘビと名はつきますが、食べられます。まずいそうですが、、

ウマゴヤシ:ヨーロッパから持ち込まれたマメ科の牧草で、馬を肥やすためによかったそう。

ヒツジグサ:スイレン科のきれいな花です。湿原の中で、羊の刻(午後1-3時)にそっと咲きます。

サルスベリ:猿滑という名前を実感するのは、花がなくつるつるの幹がむき出しになる冬。夏は、真紅と真白の花をつけ、公園や庭などをあでやかに飾ります。

ケイトウ:鶏頭という名前がついたのは、この花の頭花が鶏のとさかに似ているからですね。

イヌエンジュ:エンジュの樹とは微妙に違うので、イヌという言葉がついたそうです。

イノデ:シダ植物の一種です。良くみると、茶色い毛に覆われています。これをイノシシの毛に見立てての命名だそうです。

無事に最後まで名前を見つけることができました。これで、2007年イノシシ年を安心して迎えることができました。

2007年イノシシ年は、ウリボウのように愛らしく、そして猪突猛進のスピードを兼ね備えた年になれば!と思っております。

今年が皆様にとって良い年になりますよう、お祈り申し上げます。
内田あゆほ